左から
高槻市社会福祉協議会地域福祉課主査 小島 博之さん
事務局参事 国広 奈穂子さん
地域福祉課課長 山田 真司さん
ボランティア・市民活動センター 小島 英子さん
山下 秀子さん
平成30年6月18日(月)に発生した大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震。その震源となった高槻市ではお二人の方が亡くなり、住家等の被害は「全壊」が11件、「大規模半壊」が2件、「半壊」が237件でした。そして、「一部損壊」の住家等は20,797件(平成30年10月31日現在)に上り、その大多数は屋根瓦の損壊などでした。
高槻市社会福祉協議会事務局課参事の国広奈穂子さんは、「被害が広範囲にわたって点在したため、多くの方が被災していても被害の全体が見えにくかった。被災の有無に温度差もあった」と話します。国広さんの指摘するとおり、市役所の最上階に上がってみると、屋根にかかったブルーシートは広範囲に見渡せるものの、街中では早くから日常が取り戻されていました。
高槻市役所の最上階から望むブルーシートが点在する市街地
見えにくいニーズをいかに支援につなぐか
高槻市社会福祉協議会(以下、「高槻市社協」)では、6月20日に「高槻市災害ボランティアセンター」を開設しました。地域福祉課長の山田真司さんは「開設当初はおよそ50~150人のボランティアが来てくださった。一方、その当初に社協のコミュニティソーシャルワーカー等が関わっているケースなどで上がってきたニーズは5件程度だった」と話します。それはニーズそのものが存在しないからなのか、あるいは、潜在しているのか。整理して見極める必要がありました。
一つは、災害ボランティアセンターへニーズが上がる前に身近な地域での助け合いによって解決できたのではないかという点です。高槻市社協には、おおむね小学校区を単位とする37の『地区福祉委員会』があり、その委員会には、住民組織を基盤に自治会や民生児童委員、老人会、ボランティア、PTA、子ども会などが参加しています。そこで取組まれている小地域ネットワーク活動では、地域住民自身による見守り活動が日ごろから行われていました。山田さんは「近所の皆さんが地震後の安否を確認する中で気づいた小さなニーズは、住民同士の助け合いの中で対応してくださったものも多かったと思われる」と話します。
一方、災害ボランティアセンターを知らない方が多いことも考えられます。そこで、民生児童委員や地区福祉委員会を通じて、「災害ボランティアセンターのボランティアに片付けなどのお手伝いをお願いできる」ということを知らせてもらいました。また、7月1日には市が発行して全戸に配布された『広報たかつき 災害臨時号』に災害ボランティアセンターを設置していることを掲載しました。
このようにニーズが見えにくい中、一件でも多くのニーズを発掘し、必要な支援につなげることが必要でした。
そうした中、その見えにくいニーズに迫るための活動が生まれました。国広さんは「7月8日と7月14日~15日の2回にわたって『負けてたまるか大作戦』と称したポスティングの活動を展開した。これは、NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)の関西事務所が高槻市内にあったことから、学生たちが一軒一軒を訪問してくれる活動を提案してくれたもの。その際に使うチラシは、学生さんたちがホッとする感じのものを作ってくれた。それを持って1回目はIVUSAの学生さんたち、2回目はおおさか災害支援ネットワークの協力を得て幅広い方たちが参加してポスティングの活動を行ってくれた」と説明します。
一軒一軒のお宅を学生たちが訪問しました。その際、ただポストにチラシを入れるだけでなく、チャイムを押して声かけしながらチラシを渡します。その声かけも、こうした活動に実績のある団体だったので、具体的にニーズを引き出す話し方をオリエンテーションで確認しながら取組んでくれました。
「負けてたまるか大作戦」で使った学生たちの手作りによるチラシ
国広さんは「ニーズを掘り起こすことはもちろん大切だが、『ニーズがない』ということも丁寧に確認していくことの大切さを私たちも学ばされた」と、ふり返ります。こうした取組みを通じて、7月28日(土)の災害ボランティアセンターの閉所までに666件の「ニーズ」に対応することができました。
高槻市災害ボランティアセンター活動実績 |
―開設期間― 平成30年6月20日(水)~7月28日(土) |
―ボランティア活動のべ人数― 1,884人 |
―活動件数― 666件(内ブルーシート張り238件) |
http://ta-city-shakyo.com/