つくば市における要配慮者支援のしくみ
つくば市は24年に竜巻における甚大な被害を受けた経験もあります。避難行動要支援者を消防、警察、民生委員、社協と共有しています。
避難行動要支援者名簿の作成より重視していることは安否確認です。これは地域住民やコミュニティの方がそれぞれの情報を知っていることが多く、行政では補えない部分があるからです。なかには、名簿の作成を拒否するケースもあります。木本さんは「名簿を作ることに対して、“NO”という人を知ることも個別支援計画を作るにあたって1つのヒントになる。事前にどれだけ説得できるかが重要」と話します。
住民の防災意識
つくば市では「平成27年9月関東・東北豪雨」災害前から福祉避難所を公表していません。これは、民間福祉避難所1施設あたり受入れられる要配慮者は10名程度が限界なので、一般避難所から福祉避難所へ移行する際は、混乱を防ぐため、保健師による聞き取り調査などを実施してつくば市が判断し、施設側と調整してから行うようにしています。
本当に支援を必要とする人へ支援の手が行き届くようにするためです。また協定を結んでいる福祉施設からも「急に被災者が来られたときに対応できないから公表しないでほしい」と要望があったことも理由の一つです。
木本さんは「リスクや被災状況、避難方法は同一市内でも地域ごとに異なる。行政の手が行き届かないこともあり得るから、自分の身は自分で守ることが大切」と言います。これは民生委員にも伝えていることです。そして、普段の生活で「どこにどのようなリスクがあるのか、電気や水道がない生活にどれだけ耐えられるか。リスクを洗い出して明確にする必要がある」と木本さんは話します。また、「普段から自宅の耐震対策などを徹底してくださいと言うようにしている。『家具の転倒防止や地震で潰れない家、水害で浸水しない家をつくるように』と地域住民の防災意識向上をめざしている」と鬼塚さんは指摘します。被災状況によっては、市外に出たらライフラインが活きていることがあるのが広域避難の特徴です。危機管理課主任の鈴木誉幸さんは「市町村行政だけで広域避難をすることは難しい」と指摘します。鬼塚さんは「災害協定のデメリットは取り残されている小さい村がポツンと取り残されること。災害時における広域的な取組みを実践するにあたって、県は情報をコーディネートする役割として調整役を担い、市町村へ情報を提供してほしい。情報のコーディネートが大切」と今後の希望について話します。
(右から) つくば市市長公室危機管理課 主任 鈴木誉幸さん
課長補佐 鬼塚宏一さん
保健福祉部社会福祉課 係長 木本昌昭さん
國府田悠葵さん
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