宮城県東松島市/平成24年3月現在
宮城県東松島市は、津波による住宅地への浸水地域が県内で最も広い市町村となりました。市内約1万5千棟の住宅のうち、被害家屋は1万4千500棟、死者・行方不明者は1千70人となっています(平成23年12月14日現在)。
発災直後は動くにも動けない状況に
市が直営している東松島市地域包括支援センターでは、当初被害状況の全容が分からない中、地域の高齢者の安否確認ができない状態が続きました。
発災直後、早急な対応が必要といわれる安否確認ですが、今回のような津波被害の場合その行為が大きな危険をもたらします。東松島市地域包括支援センター主任の石森さんは、「常日頃、地域包括支援センターとしてケアマネジャーや民生委員に、『有事の際には安否確認をお願いします』と言っているが、どこまでお願いしていいものなのか…」と苦悩を話します。
また、組織的にも3人の専門職(保健師1人・保健師資格のある主任ケアマネジャー・総合相談1人)のうち、保健師2人が2か月間、保健師活動のスタッフとなったため包括の業務から外れることになりました。さらに、残った職員も、水や食糧、毛布等の物資を避難所に運搬しなければならず、地域包括支援センターとしての本来の動きが取れない状況が続きました。
市内のケアマネジャーを集め、臨時の連絡協議会を開催できたのが3月の下旬。そこで、要支援高齢者は地域包括支援センター、要介護高齢者は居宅介護支援事業所と役割分担を行い、高齢者の所在も含め状況を確認することを決め、対応等で困った場合は通常通り地域包括支援センターへ相談することを決めました。
避難所では支援が必要な高齢者が増加
避難所では、震災に伴い高齢者の状況に変化がみられていました。冬のような寒さから体力が著しく低下、環境の激変で認知症状が悪化、オムツをしているが介護者がいないなど、緊急的な支援が必要な高齢者が多く見受けられました。
一方、3月下旬から宮城県社会福祉士会、4月からは日本社会福祉士会の応援職員の受入れを決め避難所健康調査に加わってもらい、高齢者のアセスメントを行いました。応援職員が避難所を回り、支援が必要と思われた方については、地域包括支援センターへ、そこから医療が必要な方は病院へ、介護が必要な方は福祉避難所や介護保険等のサービス利用、福祉施設へとつないでいく仕組みを作りました。
http://www.city.higashimatsushima.miyagi.jp/
※当時は市役所直営で運営していましたが、現在は東松島市社協が運営を行っています。