熊本県熊本市/平成29年3月現在
被災した地域、法人を支えるために
リデルライトホームの福祉避難所運営を軌道に乗せてから、次に取組んだのは、5月20日に開いた「福祉避難所開設へ向けた打ち合わせ会議」です。これは同会議の前に、県内の法人に対して電話調査を行い、「福祉避難所をやってもよい。既に要配慮者を受入れている」と答えてくれた法人です。益城町、御船町、パラマウントベッドにも来てもらいました。熊本県経営協として開催したその会議では行政から現状を報告してもらい、その上で全国からの介護職員の応援派遣職員が何人いるかなどの情報を共有し、県内の法人の力を結集する場をつくりました。被災法人自身ができきれない地域の要配慮者支援を県内の法人ができることを尽くして支えようとする取組みだったといえます。
8月27日。リデルライトホームの福祉避難所を終了する際の最後の利用者は益城町から受入れた方でした。益城町の仮設住宅が完成し、仮設住宅での生活支援を行う地域支え合いセンターにその方への支援を申し送りして福祉避難所による支援を終えました。それは、町を離れて熊本市内の福祉避難所へ来て過ごしてくれた避難者をもう一度、町が取り戻そうとする力に託す終わり方でした。これは市外からの避難者に限りません。本人と地域がもう一度力を取り戻すまでを支えるという福祉避難所の役割がそこにあります。
図にあるように、27人の退去先で「元の自宅」に帰ることができたのはわずかに6人です。
そして、小笠原さんが最後に指摘するのが、「復興と再建」という長期的な視野に立った経営支援です。それは制度上のフォーマルな支援との調整を図りながらすすめていくことも必要になります。「この場合には、制度の適用が・・・」。そんな事例が出てくることも少なくありません。そういった現状と向き合っても、小笠原さんは「まずは起こっている『事実』から出発するんだ」と話します。
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