熊本県/平成30年3月現在
混乱の中でも現地の情報を発信していく意味
リデルライトホームには、正式に依頼した応援派遣職員の他にも、福祉や医療関係者をはじめ、さまざまな団体が支援に訪れました。それぞれの把握している情報や支援したいと考えている内容やアプローチ方法がまちまちの中、「『落ち着いて、町のニーズをきちんと聞いていきましょう』と伝えていくことも求められていた」と、「ノットホーム」施設長の吉井壮馬さんは話します。
発災当初に訪問した人には、自分の車で寝泊りできるように、たくさんの生活用品を車に積み込んで来た方もいました。現地の状況が分からない中、被害が大きく報道の多かった益城町や阿蘇市のイメージで、建物に入れないことを想定していたようでした。
地震の直後は電話やメールが使えなくなり、法人でも情報が錯綜して「本当にパニック状態だった」と、米田さんは言います。情報の収集方法や取捨選択の基準はこれからも課題ですが、今回の震災では、施設や周辺地域の状況を発信する体制を整えていき、後から支援に入る人の参考となることを意識して情報発信するようにしていきました。現地の実情を適切に発信することも被災地以外から支援に来てくれる方々への配慮になるとともに、被災地のニーズと支援の合致につながります。
職員の安否確認
一方で、リデルライトホームの職員の状況はどうだったのでしょうか。
熊本地震により、リデルライトホームの職員も大きな被害を受けています。中にはアパートが全壊し、一般避難所から出勤していた職員もいました。自宅の建物は無事でも、2度にわたる激しい揺れに子どもが屋根のある場所を怖がり、車中泊をすることになった職員もいました。こうした中、事業所単位ごとに職員同士で状況を確認し、助け合っていきました。困難だったのは、発災直後の安否確認です。事業所の入居者の状況はすぐに把握できましたが、電話やメールが使えなくなったことで、職員の無事を確認できるまでに時間がかかってしまいました。
情報収集に各事業所が時間をかけていた中、「ノットホーム」では、発災から約1時間で全職員の状況確認を完了することができました。「ノットホーム」の職員全員がLINE(ソーシャルネットワーキングサービス)に登録していたからです。LINEは地震でサービスが止まらなかったため、連絡を取り合うことができました。迅速に職員の状況が把握できたことで、すぐに勤務体制の検討をすすめ、さらにLINEを利用してその勤務表を全員で共有することができました。
勤務表の作成には、各事業所の管理職が苦慮しました。職員の状況を確認次第、その都度手を加えていき、長期間勤務が続く人が出ないように組立てていきました。
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