(社福)リデルライトホーム
全国からの応援派遣職員による福祉避難所運営と事業の早期再開
掲載日:2018年7月13日
ブックレット番号:7 事例番号:77
熊本県/平成30年3月現在

 

明確な「事業再開日」から、行動を逆算して組立てる

リデルライトホームでは、発災から約2週間後の5月1日には、事業所の運営体制を通常の状態に戻しています。本震発生後という早期の段階で、法人全体の方針として「4月中に『あたりまえの状態』に戻す」という具体的な目標を掲げました。そして、「5月1日から通常とおり運営するために、何をしていけばいいか」ということを逆算して、各事業所でその後の対応を考えていくことにしました。この方針の下に、「ノットホーム」では発災後4日目に利用者の入浴を再開し、5日目には通常運営に戻しています。また、福祉避難所の運営を「ノットホーム」内での受入れから、前述の「ちこす」における運営に切り替えたのも、この「5月1日」を一区切りとする方針によってのことでした。

 

早期に事業を立て直すことをめざした理由について、吉井さんは「通常が一番良い状態だから」と話します。自宅の被害が大きく出勤できない職員や車中泊を続けている職員もまだいましたが、東北支援の経験から、臨時の体制が長引く方が職員への負担が大きくなることを感じての判断でした。「職員を疲弊させないためにも、早く通常運営に戻すことをめざした」と、吉井さんは言います。

早期の事業再開を可能にしたのは、再開日を具体的に設定した他に、「災害時の物資を準備していたこと。そして、発災時の役割分担ややらなければいけないことを決めた組織体制をつくっていたこと」の2点を、吉井さんは付け加えます。こうした事前の対策にも、東北での支援経験が活かされています。必要な物資の備えや「震度5以上の地震が発生したら集まる」といった災害対策マニュアルは、東北に応援派遣に行った職員がメンバーとなって作成しました。熊本地震を経た現在も災害対策委員会を継続し、水害や台風など他の自然災害も想定した見直しを随時すすめています。

 

◆ ◆ ◆

 

東日本大震災での支援状況をふまえ、「災害対応はスピーディになっている」と、吉井さんはその変化を話します。石巻市では開設までに半年ほどを要した福祉避難所も、熊本地震では早期に設置することができました。けれども、「津波で何もかもなくなってしまった東北とは状況が違う。リデルライトホームでは被害がそこまで大きくなく、ライフラインが生きていたなどの条件もあって教科書とおりの対応ができたと思うが、同じ熊本でも益城町はまた別」と、被災状況に左右される災害対応の難しさも指摘します。吉井さんは、「マニュアル作成などのあたりまえの対策を地道にすすめながら、情報を共有し、災害への備えを終わらせてはいけない」と、継続した災害対策の重要性を伝えています。

 

左:ノットホーム管理部長 米田 正人さん

右:ノットホーム施設長 吉井 壮馬さん

 

取材先
名称
(社福)リデルライトホーム
概要
(社福)リデルライトホーム
http://www.riddell-wright.com/index.php
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