熊本県/平成30年3月現在
事業所が休止となっても、大切にしてきた理念を貫く
熊本市南区城南町は、熊本地震で被害が大きかった御船町に隣接し、益城町や宇土市にもほど近い位置です。震災時は、前震・本震ともに震度6強を観測する大きな揺れに見舞われました。
平成28年4月14日の前震では、建物内の家具などが散乱し、外壁が剥がれ落ちました。駐車場やグラウンドもひび割れ、敷地内を断層が横切っていることが、このとき分かりました。城南学園の入所者50名と職員はグラウンドの安全な場所に避難し、ブルーシートの上に布団を敷いて不安な一晩を過ごしました。
図の左側に当たる城南学園のB棟や第二城南学園の第2本館の被害が、特に大きかった。
また、城南学園・第二城南学園を囲うように断層による亀裂が生じた。
(慶信会作成資料より)
城南学園・第二城南学園では、台風や水害、火災などを想定した避難訓練を毎月1回行っていました。その効果もあって全員けがなくグラウンドまで避難できましたが、利用者の中には普段と違う状況に戸惑う方も多くいました。いつも寝ている部屋に何が何でも戻ろうとしていた人には、「今日はキャンプです。だから外で寝ますよ」と職員が声をかけ、特殊な状況であることを伝えていきました。
続く16日の本震では、何とか形を保っていたB棟の天井が崩れ落ち、全壊してしまいました。利用者は公用車に移動して夜を明かさざるを得ませんでした。
市からは福祉避難所開設の打診がありましたが、建物や設備の損壊が大きく、もし福祉避難所を開設したとしてもボランティアのコーディネートや情報の収集・発信に対応できる人材の確保も難しかったため、設置は見送りました。
利用者の居室
左:A棟、右:B棟
左:崩れた外壁(B棟) 右:体育館までの通路は揺れで湾曲した
左:B棟内の訓練室 右:B棟近くの作業棟
断層に沿って施設内の各所に亀裂が生じた
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