(社福)岩手県社会福祉協議会
会員の相互支援をすすめる取組みと、県外・県内における災害派遣福祉チームの実践
掲載日:2018年6月14日
ブックレット番号:7 事例番号:74
岩手県/平成30年3月現在

 

これまでの取組みをふり返って

初めての県内派遣は、先遣隊から始まり、第1次~7次までチーム員54名、ボランティア15名による活動となりました。現地に常駐する事務局員がコーディネート役を兼ねたことで、構想していた「現地拠点」の動きを試行できたことや、県内の主たる災害派遣チームに福祉チームの存在を周知できたこと、キッズルーム運営など新たな活動を始められたことなど、いくつもの成果があった一方で、課題も見えてきました。

 

岩泉では、200名規模の避難所に事務局員1~2名程度、チーム員4~5名程度の体制で対応しましたが、決して十分ではありませんでした。今後は、個別対応の中でもニーズの高い入浴介助などはボランティアを募集するなど、チーム員とボランティアが役割分担をして対応していくことが考えられます。

 

また、チーム員の構成についても発見がありました。普段から福祉サービスを利用している人は、福祉関係者も情報を把握しているためその後の支援にもつながりやすくなりますが、サービスの利用までに至らない要配慮者は福祉関係者からは見えにくい存在と考えられます。加藤さんは「災害派遣福祉チームは、そうしたサービスにつながりにくい人を見ていく必要がある」と言います。そして、「例えば精神障害のある方は、慣れた環境であれば安定した状態でいられるが、避難所生活など環境が激変することで状態が悪化してしまう場合がある。そういった方を支えるためにも、チーム員に一人は精神保健福祉士を入れたい」と話します。

台風10号被害の発生時、災害派遣福祉チームの登録者数は234名でした。約1か月の活動の中で、発災から2週間程度は1クール連続して現地入りできる複数のチーム員を確保することができていましたが、後半はそうした「帯」で入れる人員の確保に苦労しました。前述の通り事務局員が常駐しコーディネート役を担うことで、なんとか運営することができていました。

 

加藤さんは「派遣の呼びかけは、事務局から登録者のメールアドレスへ一斉送信し、その後、本人が所属法人内で調整することになっている。秋はイベントなども多く、登録者自身の予定が空いていても所内調整ができない場合があり、重ねて呼びかけたが人が集まらなかった」と話します。新規の登録者を充実させることはもちろん、派遣元である法人や施設への周知にさらに力を入れていく必要があります。

 

取材先
名称
(社福)岩手県社会福祉協議会
概要
(社福)岩手県社会福祉協議会
http://www.iwate-shakyo.or.jp/
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