福島県会津若松市/平成25年3月現在
会津支部として受入れを決定
避難先で被災施設の入所者はどんどん状態が悪化していました。もう待てない状態の中、当初は県に施設の避難先の調整を要請しましたが、全体調整が必要なためすぐには調整がなされませんでした。そもそも介護保険施設である特別養護老人ホームは、措置ではないため行政に入所判断の権限はなく、通常でも入所は施設長の判断によるという制度です。一方で、県保健福祉部より「施設の定員を超過して受け入れてよい」とのFAXが入りました。※「東北地方太平洋沖地震により被災した要援護者への対応およびこれに伴う特例措置等について」
そこで小林さんは、県社協、被災施設から受入れニーズを確認しながら、会津方部老人福祉施設連絡協議会会員施設の27 施設全てに連絡を取り、定員の1割を目安とした受入れと各施設が被災施設の入所者を迎えに行くことの協力を要請しました。調整の際は、あえて例外なく全ての施設に依頼しました。施設の個々の事情を考慮し始めると、受入れできなくなる可能性があったからです。施設によっては受入れに消極的で即断できないところがある一方で、割り当てになった1人の入所者を山を越え峠を越えて迎えに行った小さな施設からは「行ってよかった。もっと受け入れたい」との声が寄せられました。避難されている高齢者や職員の姿を見て、気持ちが変わったそうです。
こうして、3月17 日から22 日までに174人にのぼる入所者を避難場所から助け出し、受入れを完了しています。これを皮切りに、県内の特別養護老人ホーム(会津支部を含む)で計205人、県外の特別養護老人ホームで計102人を受け入れました。県外は栃木県を中心に、7都県の老施協経由で調整しました。
被災施設の職員たちは懸命に働き続けました。全ての入所者を受入れ先に送り出した後、ようやく会えた家族に「投げ出さないで最後までやりきったよ…」と語ったそうです。
表 福島第一原発事故エリア内の特別養護老人ホーム
(平成24年12月現在)
表 県老施協会津支部における受入れ状況(避難施設別)
(平成23年4月現在)
http://www.fukushimakenshakyo.or.jp