福島県/平成30年3月現在
「ケアの質は落とさない」を合言葉に
職員が思いを込めて掃除している、いつもピカピカのホーム内。
(平成27年撮影)
東日本大震災の発生から約6年半、職員の利用者への想いや責任感とホームへの強い熱意、そしてともに働く仲間同士の絆に支えられて、いいたてホームは事業を継続することができました。
いいたてホームが好き。残るからには、「甘えない・厳しくし・原発事故のせいにしない」という強い意志を持ち、職員たちは「ケアの質は落とさない」を合言葉にいいたてホームらしいケアを続けてきました。
この合言葉は、「勤務の負担や通勤など、私たちが大変でも、利用者には今までと変わらない生活をしてもらいたい」「利用者が減ることや、その状況に慣れても、手は抜かない」という職員の想いから生まれました。そして、県内1番の施設をめざし、においゼロ、事故ゼロ、虐待ゼロ、褥瘡ゼロ、感染症ゼロの「いいたてホームらしいケア」を大切にしながら、利用者を守り続けてきました。
三瓶さんは、「つらい状況でも、利用者の笑顔が職員の自信や原動力になっていた」と話します。
「利用者の笑顔が見たい」。これがいいたてホームで働く職員たちの願いです。いいたてホームでは、以前から積極的に外出の機会や手づくりのイベントを企画して、施設の中だけでは見られない利用者の特別な笑顔を引き出してきました。
そんな利用者の笑顔を引き出すケアは、職員にとって誇りであるとともに「いいたてホームらしいケア」のひとつでもあります。しかし、東日本大震災の発生により、今まで当たり前にできていたことができなくなりました。当たり前にできていたことができなくなったとき、その価値の大きさを職員は痛感し、悔しさやもどかしさでいっぱいになりました。また、今まで経験をしたことのない状況での介護に心が折れそうになった日もありました。そんな時も、「利用者の笑顔が見たい」という想いと実際に利用者が見せてくれる笑顔が職員の背中を押してくれました。そして、「今やれることをやっていこう!」と折れそうな心を奮い立たせるきっかけにもなっていました。
職員たちは何度も葛藤を繰り返しながらも「この笑顔をなくしたくない」という想いや目標をともに持ち続け、仲間同士の信頼関係を深めながら、この場所で利用者へのケアを続けてきました。大変な状況に負けず、お花見ドライブや運動会、新年会や餅つきなどのイベントを震災前と変わらず提供したいと企画し、開催するようにしました。そこで見られる利用者の笑顔は、震災前と変わらず職員たちの自信と誇りにつながるものでした。
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