(社福)いいたて福祉会
全村避難の中、事業継続の決断をした特養は~この場所にとどまることで利用者の命と笑顔を守りたい~
掲載日:2018年6月1日
ブックレット番号:7 事例番号:72
福島県/平成30年3月現在

素晴らしい職員がいるから諦めない

「いいたてホーム」施設長

 三瓶政美さん

 

人材不足や財政面の課題などを残した厳しい状況の中でも、三瓶さんは、「村の高齢者の唯一の砦として、社会福祉法人である限りいいたてホームの運営を続けたい」と想いを語ります。

南相馬にボランティアに行ったことをきっかけにホームのことを知った若い男性が、「ここで働きたい」といいたてホームを選んで福岡から来てくれました。これはいいたてホームにとってとても明るい出来事になりました。また、平成28年4月には、震災後初めて、新卒の介護職を採用することができました。いいたてホームらしいケアにふれ、「実習した中で1番良かった」と周りを説得して就職を決めてくれたといいます。保育所でも新卒の保育士1名が採用されています。

 

避難指示が解除されてから村に戻ってきている職員は3名だけです。避難生活が長期にわたり、避難先で家を建てた職員もいます。

三瓶さんは「少なからず放射線量の影響がある中で、その影響が人体などにどのように影響を及ぼすか明確に答えが出ない中で、人材の確保を行うことは難しい」と、人材確保及び継続運営に対

し、バックアップや支援を要望しています。また、ケアやケアの質は資格が成せるものではなく人が成すものであるという考えから、介護士資格制度の緩和や、被災地で運営している施設への老

人福祉および介護保険制度の特例緩和を求めています。

 

さらに、いいたて福祉会では、すぐに住居が見つからなかったり、車の運転に自信がない方などのために、施設から300m程度の近い距離に民家を3棟取得し、職員が使用できるようにリフォー

ムしました。今後職員に住宅として活用してもらうことを想定しています。

 

三瓶さんは、「今いる職員がこの地で働くことへの葛藤や苦悩と戦いながらも、ホームに対する熱意や想いが強い。そして、ここで働く職員同士の人間関係が6年半の間ホームを支えてきた。ここが帰村後の高齢者の拠り所だと思ってみんなでふんばってきた。素晴らしい職員たちがここで頑張っているのだから、引き続き利用者を増やせるよう職員募集にも力を入れていきたい」と熱意

を語ります。

 

 

①「計画的避難区域において事業所が例外的に事業を継続する場合に係る措置について」

 (事業者・市町村が満たすことが必要な事項)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取材先
名称
(社福)いいたて福祉会
概要
(社福)いいたて福祉会
http://www.iitate-home.jp/
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