「自由になれる」をお互いに支え合えるといいな
-今、大学で福祉を学んでいる久保さんは、どうして福祉を学んでみたいと思ったのですか?
この3月、私は京都女子大学家政学部生活福祉学科を卒業します。大学では4年間、福祉を学んできました。
小学生のとき、私は跳び箱の後で膝の関節が外れるような感覚を覚え病院で診てもらったところ、骨の病気があることがわかりました。それで小学校から大学まで4回膝を手術し、そのたびに2~3週間入院し、退院後も1ヶ月以上はギプスをつけて過ごさなければなりませんでした。そんな経験を重ねる中、「人の助けになる」ということに興味を持つようになりました。
小中学生のとき。リハビリの先生と仲良くなり、リハビリに興味を抱きました。そして、電車通学になった高校生の頃には、ギブスと両松葉杖で電車に乗っていると、席を譲ってくれるのはいろんな人がいるということを知りました。学校ではギプスと両方の松葉杖でも荷物が持てるよう、自分なりに工夫するんですが、友達がちょっと持ってくれたり、ドアを開けてくれるだけですごく助かり、「行きたい」ところへ「行ける」。それは「自由になる」ということだと感じました。できないことを支えてあげられると、できないことはできるようになる。そんな風に「人と人がお互いに支え合える」のって、私なりに『いいな』と思うようになりました。
生活のあたり前と福祉がつながったときが面白い
-大学で福祉を学んで得たものは、どんなことですか?
そんな気持ちを持ちながら大学の「生活福祉学科」で福祉を学び始めました。最初は学びながらも「福祉」や「高齢者」はちょっと遠くに感じられました。けれども、そのことは実習で具体化され、「福祉」って「生活」そのものだと気づき始めました。深く考えずにあたり前だったと思っていたことに、ちゃんと便利とか暮らしやすいとかいう理由があったりしました。
福祉で勉強したことが、みんながあたり前にしていることとつながっているんだと共通点を見つけたとき、『面白い』と思えました。例えば、右麻痺の方には左側に箸を置くということ。それは、右利きと左利きで箸の置き方が違うのと同じだなと思うと、遠くに感じていたものが自分の生活とつながって見えてきました。
-昨年と今年、久保さんは大学の仲間たちと「介護創造力コンテスト」に参加していますね。そのときのことを教えてください。
3回生だった昨年の秋。先輩と同級生の4人チームで「介護創造力コンテスト~介護課程の展開~」に出場し、8校が参加した大会で、第一位になることができました。このときは、先輩の都合が悪くなり、それで出させてもらいました。
そして、4回生になって、今回の地震も経た秋のこと。今度は同級生、後輩と2度目の出場をし、16校が参加する大会で2年連続の第一位になることができました。この大会は、1枚の紙と映像で出題された利用者の情報をもとにチームでアセスメントと介護過程の計画を立案し、それをプレゼンして競い合うものです。「ああでもない、こうでもない」と言い合い、みんなイライラしてくるのがわかるのですが、突破口が見つかると、一気に「希望」が出るんです。
第3回介護創造力コンテストにて
-次の3月には卒業ですね。卒業後は?
大学を卒業した後、私は高齢者福祉施設で相談員として働く予定です。例えば、特別養護老人ホームで利用者ご本人が亡くなった後、キーパーソンとして支え続けた家族のことを心配した施設の生活相談員が、地域包括支援センターにつなげて家族のアフターフォローをお願いしていく。そんな実践を私は『いいなあ』と思います。
私はなかなか自信が持てないので、自信が持てるようになりたいです。自信をもってした支援を次にバトンをつなげることができる。そんな風に成長できるよう、一歩一歩を歩んでいきたいです。
http://www.kyoto-wu.ac.jp/