京都府/平成30年3月現在
地域の中での対応力を高める人材養成と京都DWAT
宮村さんは、「ハードの整備はお金さえあればできるが、本当に大事なのはソフト、つまりは人材。避難所へ要配慮者を迎え入れられる体制を地域に作っていきたい」と続けます。ガイドラインでは、「研修、避難訓練、本書などを活用して、要配慮者のニーズに対応できる人材を各地域で少しでも多くの人を養成しましょう」としています。こうした人材を地域に作っていくため、京都府では、次の3つの層による人材を育てていこうとしています。
(1)福祉避難サポートリーダー
まず、「福祉避難サポートリーダー」とは、災害時は地域において要配慮者を適切に支援するとともに、平時には「要配慮者を含む地域づくり」をリードする人材です。京都府は、府内の7つの保健所の主催により毎年度、「福祉避難サポートリーダー養成研修」を実施しています。平成29年度はこれに加えて、政令指定都市である京都市でも実施します。各会場では30~50名が参加し、平成28年度末までにおよそ1,000名を養成してきました。参加対象は「市町村職員、福祉施設職員、社協職員、教職員等」で、研修は下図のような内容です。特に演習は、自らの地域の要配慮者を想定し、「あなたならどうする?」を考えるものとなっています。
宮村さんは、サポートリーダーが果たす具体的な役割を次のように説明します。「例えば、福祉施設職員の場合。福祉施設には、地域の中にある施設としての役割の発揮が期待される一方、災害時には自らの利用者を守ることをはじめ、福祉避難所としての役割も期待される。そうした中でも、できる範囲で施設職員が近くの避難所に様子を見に行き、住民の取組みをサポートしてくれるとよい。1施設に何人必要というものではなく、いろんな職層の職員が順に各施設から研修に参加してくれている。また、社協も災害ボランティアセンター等で手一杯になると思われるが、社協職員にはさまざまなつなぎ役を期待したい。」
この「福祉避難サポートリーダー」は、研修を受けて資格を得るものではありません。災害時にそれぞれの持つ力を発揮できることを期待し、地域に災害時の要配慮者を理解する目線を少しでも増やそうとするものといえます。
また、京都府健康福祉部介護・地域福祉課地域福祉担当主事の藤田真希さんは、「研修を始めた当初は参加が少なかった教職員の課題意識も少しずつ高まってきている」と指摘します。その背景として、平成29年1月20日、文部科学省初等中等教育局長名で『大規模災害時の学校における避難所運営の協力に関する留意事項』の通知が出されています。それは、平成28年熊本地震などの経験もふまえ、教職員が避難所運営に積極的に協力することが早期の学校再開につながり、児童生徒が日常生活を取り戻すことができるとするものです。藤田さんは「一般避難所は学校体育館などに設置されることが多い。要配慮者支援のために教室を使わせてもらうなど、学校側の理解があることは大きい」と話します。
左:京都府健康福祉部介護・地域福祉課 地域福祉担当 副課長 宮村匡彦さん
右:京都府健康福祉部介護・地域福祉課 地域福祉担当 主 事 藤田真希さん
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(社福)京都府社会福祉協議会
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長岡京市
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