福島県/平成30年3月現在
リリー園の現況
平成29年10月末現在、職員は31名になりました。そのうちの19名が介護職(2名は長期休暇中)です。元からリリー園にいた職員は5名になり、震災後に採用した職員の方が多くなっています。
震災後に採用された18名(1名のパート除く)のうち、京都や神奈川、長野、茨城など県外から来た人は6名、県内から来た人は7名です。
県内各施設と同様に人材不足に苦慮するリリー園では、ホームページを活用したり、さまざまなWeb媒体に求人情報を掲載しています。また、福島県内をはじめ、大阪、東京、仙台など、1人でも人材を確保できればと積極的に就職フェアにでかけ、「無資格だけど介護の仕事をしてみたい」という人がいれば、資格が取得できる講習を案内するなどのサポートをしています。
福島県社会福祉協議会が主催する福祉施設をめぐるバスツアーには今まで3回参加し、東京などからの見学者を受入れるとともに、最近では高校生を対象にしたバスツアーにも参加しています。すぐに就職には結びつきませんが、子どもたちの将来の選択肢の一つになれるよう、夏休みに挑戦できる資格を案内したり、地域の高齢者の状況を丁寧に伝えています。
震災後に採用された職員は、年齢層はさまざまですが、「被災地で役に立ちたい」「もっと早く来たかった」「再開を機に一緒にやっていきたい」とそれぞれ熱意を持ってリリー園にやって来てくれています。
「ふるさとで暮らしたい高齢者に支援を…」。永山さんがホームページなどで法人の設立趣旨や自身のメッセージを発信すると、その熱い想いに惹かれて、「ぜひ役に立ちたい」という想いを持った方が来てくれるようになりました。避難指示解除を機に故郷に帰ってくる高齢者を喜び、その人たちのために…という想いは、震災前から働き続けている他の職員も同じです。
リリー園ホームページ
永山さんは、「熱意を持ってリリー園に来てくれる人を見ていると、特養は単なる就職口ではないと感じている。残ってくれた職員も、『町の高齢者に安心して暮らしてもらいたい』という心の持ち主。そして、『故郷のためにがんばりたい』という大きな看板を胸に働いてくれている」と話します。
しかし、新しい職員の入職などにより、施設が活気を取り戻しつつある一方で、経営は厳しく、賠償を切り崩しながらやりくりするも現在も毎月1千万円ほどの赤字が続いています。職員は増員したものの、やはりまだ介護職員は足りていません。人材不足から思うように利用者の受入れができない今、介護保険事業の収入に対して、人件費や光熱費、物品にかかる経費などの支出が多くなっており、リリー園にとってはとても厳しい状況にあります。
リリー園の様子(平成29年10月末)
http://lily-en.com