(社福)リデルライトホーム
全国からの応援派遣職員による福祉避難所運営と事業の早期再開
掲載日:2018年7月13日
ブックレット番号:7 事例番号:77
熊本県/平成30年3月現在

 

応援派遣職員による福祉避難所の運営

こうして、応援派遣職員を中心とした福祉避難所の運営が始まりました。応援派遣職員は既に支援者として豊富な経験を積んでいる方たちなので、福祉避難所の1日のスケジュールやプログラムは、応援派遣職員の方たちで意見を出し合って決めてもらうことにしました。

理学療法士がスタッフに入った日は散歩に出たり、音楽療法士が担当の日はみんなで歌を歌ったり、その日担当した応援派遣職員ごとに、それぞれの持ち味を活かしたプログラムが行われました。「各自が特徴を活かして、楽しく過ごせる空間がつくれたと思う」と、米田さんはふり返ります。

 

福祉避難所の利用者は、高齢の方でも最も要介護度が高い方で「要介護3」と、比較的自立した方がほとんどでした。重度の方は元々担当になっているケアマネジャーが発災直後から素早く対応し、被災していない施設に避難するなどの対応ができていたからです。そのため福祉避難所では、利用者の身体機能を低下させないような「やりすぎない介護」をしてもらうことにしました。この方針は法人で決め、応援派遣職員に伝えていました。

日頃特養などに勤務し、重度の方と接している応援派遣職員の中には、「しなくていい介護」に戸惑う方もいました。一方、デイケアに勤めている方は日中の活動支援の経験が豊富です。さまざまな得意分野を持つ支援者たちのかかわり合いからも、応援派遣職員は経験の幅を広げるきっかけを得ることになりました。

 

休息や休日への配慮

慣れない土地で非常時下の対応をする応援派遣職員の負担を少しでも軽くすることも、リデルライトホームでは重視していました。

応援派遣職員の宿泊所は、福祉避難所から離れた同一敷地内の特別養護老人ホーム会議室などに設定しました。これには、東北の応援に入った際の米田さんたちの実感が反映されています。勤務場所と宿泊所が近いと、緊張がほぐれにくいものです。そこで、福祉避難所から完全に切り離した場とすることで、気持ちを切り替えられるように工夫しました。宿泊所内にはテレビも設置し、くつろいで過ごせる環境を整えました。休日も確実に取れるよう、法人でシフト管理をしていきました。

 

また、応援派遣職員の休日には米田さんたち法人職員で車を出し、外に出る機会もつくりました。訪れるのは熊本地震で崩落した阿蘇大橋や大きな被害が発生した益城町、熊本城などです。この震災でどのような被害があったのか、現地にいる間に施設以外の状況もいろいろと見てもらいたいと考えたからです。

このような経験を経た応援派遣職員は、全国各地の所属施設に戻った後、現地での支援や被災地の様子について他の職員に伝え、各施設での災害対策に活かし始めています。

 

応援派遣職員の宿泊所

 

取材先
名称
(社福)リデルライトホーム
概要
(社福)リデルライトホーム
http://www.riddell-wright.com/index.php
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